こんにちは蒼海 隼(あおみ じゅん)です!
この記事では、忘れられがちだけどプロジェクトの成否に大きく影響する知識エリア「ステークホルダーマネジメント」について解説します。
プロジェクトマネジメントと聞くと仕事の話と思いがちですが、プロジェクトの定義に立ち戻ると日常生活でも十分に役に立つノウハウ集としての側面が浮かび上がります。
プロジェクトと日常生活の共通点についてはこちらの記事をご覧ください。
この記事はこんな人にオススメ!
- 就職活動、転職、結婚、子育てなど人生の大きな岐路にこれから立ち向かう人。
- リーダーにならないといけないが何からやればいいのかわからない人
- 仕事でプロジェクトマネージャを目指す人。

スケジュールマネジメントやコストマネジメントは何となくイメージが付きやすいのですが、ステークホルダーマネジメントは初耳という方も多いのではないでしょうか。

確かにあまりピンときまセン。

2012年のPMBOK第5版で新設された知識エリアです。プロマネ業界の中でもまだ新しい概念と言えます。

追加されることもあるのですネ、

以前PMBOKを解説した際に触れた通り、新しい概念を取り込むことで、ベテランPMにも常に有益であり続けるのがPMBOKの特徴なのです。

具体的には何をすればよいのでしょうカ?

では見ていきましょう!
ステークホルダーとは
ステークホルダーとは利害関係者を指します。会社であれば顧客、経営層、サプライヤー、協力会社、上司、部下、同僚、事業を認可する公的機関、従業員の家族、事業所の近隣住民等々事業を遂行する上で関わる全ての人がステークホルダーとなります。

このブログがターゲットとしている日常生活ではどうでしょうか??
あなたが旅行を計画しているのなら・・・
家族友人などの同行者、旅行会社の添乗員、バスの運転手、電車の遅延状況を教えてくれた最寄り駅の駅員、テーマパークのキャスト、お土産もの屋さんの店員、ホテルの受付の方、部屋に案内してくれる女中さん、部屋を掃除したハウスキーピング係、家で帰りを待っているお婆ちゃん、休暇を取らせてくれた(あるいは取らせないように誘導してきた)職場の上司、同僚、今回の旅行のために新調したキャリーケースを勧めてくれたかばん店の店員、お土産をねだっきた甥っ子・・・etc
パッと思いつくだけ列挙してみましたが、結構いますね。
ステークホルダーマネジメントとは
ステークホルダーマネジメントは前述したようにステークホルダーそのものを洗い出す(特定する)ところから始まります。洗い出す際は少しでも関係しそうな人は全て列挙する事が大事です。中にはほとんど影響しないよね、という人も混じるでしょうがまずはもれなく洗い出すことに注力して、影響力の分析は次のステップで行いましょう。
特定したステークホルダーの分析を行います。ステークホルダーそれぞれの影響力や協力の度合い(協力的、無関心、邪魔してくる、、、)を整理します。
整理した上でそれぞれの期待を管理したり、影響力が高い人にどうやって協力的になってもらうか、という戦略を考えたり、計画を立てたりということを行います。
加えて計画通り進んでいるかのモニタや必要な処置、ステークホルダー管理簿の維持などを継続的に行っていきます。
ステークホルダーマネジメントの重要性
2010年代前半のある日、大学時代の友人から久々に連絡がありました。
「結婚することになったから是非披露宴に来てほしい、細部はこれから連絡する」とSNSのメーセージ機能(確か懐かしの初代mixi)での連絡でした。「おめでとう!りょーかい」とかなんとか返したのですが、しばらくしてから「延期になったのでまた連絡する」というメッセージを最後に音沙汰がなくなってしまいました。
後ほど共通の友人から聞いたところによると、結婚を進めるにあたって家族や友人に対して話をする順番とタイミングを誤ったらしく、相手方の両親から猛烈に反対されてしまったそうです(「何先に勝手に決めてるんだ、話を通すのが先だろ、そんなのと結婚なんかさせられるか!」と、かなり辛辣だった様子、、、)

ステークホルダーマネジメントの重要性を語るときいつもこのエピソードが頭の中でちらつきます。どれだけ綿密に計画を立ててコストやスケジュールの計画を作り込んでも、影響力の強いステークホルダーの取り扱いを誤ると、全てが灰燼に帰す事があるわけです。
ではそんなプロジェクトの根幹を握るステークホルダーマネジメントの中身を見ていきましょう。
ステークホルダーマネジメントのプロセス群の概要
1. ステークホルダーの特定と分析
- 目的: プロジェクトに影響を与える可能性のある全てのステークホルダーを特定し、その影響力や関心の度合いを分析します。
- プロセス:
- ブレインストーミング: プロジェクトに関係する可能性のある個人やグループを洗い出します。
- インタビュー: 重要なステークホルダーにインタビューを行い、彼らの期待や懸念を直接聞き取ります。
- ドキュメント分析: 既存のドキュメント(プロジェクト憲章、契約書など)を分析し、ステークホルダーを特定します。
- ツール: ステークホルダー登録簿、RACIマトリックス
2. ステークホルダーの要件の定義
- 目的: 各ステークホルダーがプロジェクトに求めるものを明確にします。
- プロセス:
- インタビュー: ステークホルダーに直接、彼らの期待や要求を尋ねます。
- ワークショップ: ステークホルダーを集めてワークショップを行い、共通の目標を定義します。
- ツール: 要件定義書
3. ステークホルダー・エンゲージメント計画
- 目的: ステークホルダーとのコミュニケーション方法や頻度を計画します。
- プロセス:
- コミュニケーションチャネルの選定: メール、電話、会議など、適切なコミュニケーションチャネルを選択します。
- コミュニケーション頻度の決定: 各ステークホルダーへの連絡頻度を決定します。
- メッセージの設計: 各ステークホルダーに伝えるべき情報を明確にします。
- ツール: コミュニケーションマトリックス
4. ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント
- 目的: ステークホルダーとの関係を構築し、良好なコミュニケーションを維持します。
- プロセス:
- 定期的なミーティング: ステークホルダーとの定期的なミーティングを実施し、進捗状況を報告します。
- フィードバックの収集: ステークホルダーからのフィードバックを積極的に収集し、プロジェクトに反映させます。
- 問題解決: ステークホルダーとの間に発生した問題を迅速に解決します。
5. ステークホルダー・エンゲージメントの監視
- 目的: ステークホルダーの期待に応え、満足度を高めます。
- プロセス:
- ステークホルダーの期待の管理: ステークホルダーの期待を常に把握し、変化に対応します。
- リスク管理: ステークホルダーに影響を与える可能性のあるリスクを特定し、対策を講じます。
- パフォーマンス測定: ステークホルダー満足度を測定し、改善策を検討します。
まとめ
この記事では人との関係の管理を行うステークホルダーマネジメントについて解説しました。以下のプロセスを持ちます。計画を立てる前に忘れずに行うようにしましょう。
- ステークホルダーの特定
- ステークホルダー・エンゲージメント計画
- ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント
- ステークホルダー・エンゲージメントの監視

どうでしたか?

どんなに技術が進んでもプロジェクトを進めるのは人。人との関係をマネジメントすることが大事だということがよくわかりまシタ。

そうですね。ここを飛ばすと、後からひっくり返されたり、結局出来上がったものが的外れであったりといった事象につながりかねないのです。

わかりまシタ。関係者は誰か常に気を配るようにしマス!
プロジェクトマネジメントの考え方を活用して日常生活を豊かにしていきましょう!
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