こんにちは蒼海 隼(あおみ じゅん)です!
この記事ではプロジェクトの一丁目一番地、立ち上げプロセス群について解説します。
プロジェクトマネジメントと聞くと仕事の話と思いがちですが、プロジェクトの定義に立ち戻ると日常生活でも十分に役に立つノウハウ集としての側面が浮かび上がります。
プロジェクトと日常生活の共通点についてはこちらの記事をご覧ください。
この記事はこんな人にオススメ!
- 就職活動、転職、結婚、子育てなど人生の大きな岐路にこれから立ち向かう人。
- リーダーにならないといけないが何からやればいいのかわからない人
- 仕事でプロジェクトマネージャを目指す人。

以前プロセス群とプロジェクトライフサイクルについて概要を説明しました。

この記事ですネ。

そうです。ライフサイクルの中で反復的に表れるプロセス群のうち、最初に取り組むのが立ち上げプロセス群です。何事も最初が肝心。ここをしっかり押さえることがプロジェクト成功の秘訣と言っても過言ではないでしょう。

具体的には何をやればよいのでしょうカ?

では解説します
立ち上げプロセス群とは?
立ち上げプロセス群とは、プロジェクトを正式に開始し、プロジェクトの目的や概要、主要な関係者(ステークホルダー)を明確にするプロセスです。
ビジネスの場でよく使われるフレームワークにPDCA(Plan/Do/Check/Action)があります。最初がPlanなので、とにかく計画、まず計画、計画が大事!と叫ばれることが多い(管理職が良く叫んでいる)のですが、PMBOKは、具体的な計画を立てるよりも前にやるべきことがあるよ、と明言しています。それが立ち上げプロセス群です。

確かに「まず計画を立てなくちゃ」となって日程や予算の話から始まることが多い気がしマス。

立ち上げプロセス群では、具体的な計画を立てる、すなわち計画プロセス群を行う前に、プロジェクトの目的や関係者を明確にすべし、と説いています。もう少し具体的に見ていきましょう
立ち上げプロセス群の主な活動は以下の通りです。
- 主な活動:
- プロジェクト憲章の作成
- ステークホルダーの特定と分析
- プロジェクトマネージャーの任命
プロジェクト憲章の作成
まず、プロジェクト憲章を作成します。知識エリア「プロジェクト統合マネジメント」に属するプロセスです。
プロジェクト憲章(チャーター)とは?
プロジェクト憲章(チャーター)は聞きなれ言葉ですが、プロジェクトを正式に開始するための「お墨付き」のようなものでプロジェクトの正式な承認文書を指します。プロジェクトの目的、目標、範囲、制約条件などを明確に定義し、関係者全員が共有するための文書です。いわば、プロジェクトの「憲法」のような役割を果たします。
特にビジネスの場では、「プロジェクトを実行する」ということはすなわちリソース(時間、お金、人、モノ等々)を投入し、そのリターン(成果物)を得るという営利行為です。事業計画や環境要因等を考慮してビジネスとして意義のある行為であるということをスポンサー(顧客やリソースをプロジェクトに割り当てる経営層)、プロマネ、実行部隊等々の関係者で明確に合意しておくための文書です。
プロジェクト憲章の役割
プロジェクト憲章は以下の役割を担っています。具体的な計画よりも前段階の宣言のようなものととらえるとわかりやすいでしょう。
- プロジェクトの目的を明確にする: プロジェクトが目指すゴールを全員が共有できるようにします。
- プロジェクトの範囲を定義する: 何を達成し、何を達成しないのかを明確にします。
- プロジェクトの成功に必要な資源を確保する: 人材、予算、設備などを確保します。
- プロジェクトのガバナンスを確立する: プロジェクトの意思決定プロセスや報告体制を明確にします。
- プロジェクトの承認を得る: 組織の上層部からプロジェクトへの正式な承認を得るための根拠となります。
プロジェクト憲章に含まれる主な項目
プロジェクト憲章は一般的に以下の項目を含みます。
- プロジェクト名: プロジェクトを識別するための名前
- プロジェクトの目的: プロジェクトが達成しようとする最終的な目標
- プロジェクトの範囲: プロジェクトに含まれる範囲と含まれない範囲
- 成功基準: プロジェクトの成功を測るための指標
- 主要な成果物: プロジェクトで完成させるもの
- スケジュール: 主要なマイルストーンと完了予定日
- 予算: プロジェクトに必要な予算
- リスク: 予測されるリスクとその対策
- 組織構造: プロジェクトチームの構成と役割分担
- コミュニケーション計画: 関係者間のコミュニケーション方法
- 承認者: プロジェクトを承認した人物
なお、プロジェクト憲章というと物々しい文書を想像しがちですが、体裁は問いませんし、作りこみの度合いもプロジェクトの規模にあわせてテーラリングすればよいので、堅苦しく考える必要はありません。何かに取り組む際に関係者で集まってキックオフミーティングをすることが多いと思いますが、その場で使うキックオフの資料も立派なプロジェクト憲章です。
ステークホルダーの特定と分析
次はステークホルダーの特定と分析を行います。知識エリア「ステークホルダーマネジメント」に属するプロセスです。
なお、ステークフォルダーとはプロジェクトの全ての関係者を指します。成果を手にする顧客だけでなく、資金を提供するスポンサー、組織の経営者、プロジェクトを実行するメンバーなどです。
このプロセスでは計画を立てたり実作業を始める前にそもそも関係者は誰なのかを明らかにします。上司や顧客、プロジェクトメンバーはとてもわかりやすいのですが、例えば、一時的に手助けをお願いする人、プロジェクトを行う場所の近隣住民(理解を得る必要がるかもしれません)、成果物や作業プロセスの認証を行う官公庁、人がやっていることに口を出したくてしょうがないベテラン社員など、思ってもみなかった人たちとかかわっていくことになるかもしれません。これらをすべて洗い出します。
また、洗い出した後はその分析を行います。具体的には各ステークホルダーの期待、関心、影響力を分析します。特に影響力の分析は重要です。人間が行う活動である以上、個人、組織の発言力や影響力が成果に影響を与えることは避けられません。うまくプロジェクトを進めていくうえで、誰がキーパーソンで、どの段階で何の合意を取っておくのかという政治的な動きも重要となります。
最後に ステークホルダー登録簿を作成し、管理します。分析結果をまとめた表になります。プロジェクトの進捗に合わせて定期的に維持をしていきます。
プロジェクトマネージャーの任命
そしてこのプロジェクトを誰が率いるのかを決めます。このブログの読者である皆さんなら問題なくこなせるでしょう。是非立候補してくださいね。
まとめ
この記事では立ち上げプロセス群について解説しました。以下のプロセスを持ちます。計画を立てる前に忘れずに行うようにしましょう。
- プロジェクト憲章の作成
- ステークホルダーの特定と分析
- プロジェクトマネージャーの任命

どうでしたか?

計画を立てるよりも先に方針を関係する人と合意しておくことが必要、ということがよくわかりまシタ。

そうですね。ここを飛ばすと、後からひっくり返されたり、結局出来上がったものが的外れであったりといった事象につながりかねないのです。

わかりまシタ。奥様の料理のお手伝いはまずは方針から話してみるようにしマス。
プロジェクトマネジメントの考え方を活用して日常生活を豊かにしていきましょう!
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